RayVについて

「NPO法人新・障害者支援機構RayV」法人情報 2021年11月 東京都より特定非営利活動法人として認証・活動開始


NPO法人RayVは、障害者(特に精神)で、障害者雇用を行う企業・会社に「障害者当事者」が抱いている苦労や悩み、本当に配慮してほしいことを伝えることを目的として設立、2021年11月に東京都に認可されました。

2022年4月現在、5人の理事と1名の監事、全体で10名で構成されており、大多数がハンディキャップを持つ当事者です。特に、RayVの業務にかかわる重要な意思決定は当事者が行います。

私たちは、それぞれが発達障害や睡眠障害といったハンディキャップを抱えています。そうしたお互いのハンディキャップについての情報交換や日常の苦しさを伝え合うことも大事だと考えますが、私たちは「皆それぞれの想いを、内側ではなく外側に向けて発信したい」という想いを持っています。ここが多くのNPO法人、特定非営利活動法人と大きく異なります。
もちろん、その意思を確認したり、当事者間の安定をはかるための活動は必要です。必要ですが、それは当事者同士の気持ちを、外部(主に障害者雇用を行う事業主、ハンディキャップのない人々)に伝えたいという目的が中心にあります。

コロナ禍という事情に加え、当事者が中心のため活動には困難も伴いますが、ハンディキャップを持つ当事者が「就労」という社会参加の機会が増えていくなかで、より「働きやすい環境」を作るために必要な情報を、提供していくために尽力しています。


RayV代表理事長より

 私自身がナルコレプシーという睡眠障害を患っており、そのために障害者雇用を利用した時の経験がそもそものきっかけでした。
 日中に強い眠気におそわれることが主な症状で、夜も睡眠についてとても不安定ということもあり障害者雇用に応募させていただきました。
 しかし、職場ではいち個人として何ができるとか、戦力であるか以前に「障害者は障害者」という見方をされていることにとても強いショックを受けました。たとえば、職場で社全体の研修が行われる際、「あなたは障害者だ。人が多いところでは倒れてしまうだろうから君は参加しなくともよい」という配慮をいただきました。それは私の症状とは関係のないものだったので、「その心配はありません」ということを申し出ても、それは聞き入れられませんでした。「障害者かもしれないが、自分はこうなんだ」と私が思ったとしても、その場所では「あなたがそうだとしても、障害者なのだ」という見方で、一般の社員との間にひどく厚い壁があるように感じました。
 そのやり方が、その企業なりの「配慮」なのだと思いますが、望んでいないことを「あなたのためだ」という配慮についての違和感を拭うことはできませんでした。
 そしてそのような違和感を感じている人は、他にもいるのではないか?そう考えるようになりました。私たちはそれぞれ、苦労していることがあります。それは「うつ」であったり、「不安」であったり、「眠れない」「悲しい」であったりします。それをすべて一つの「患者」とか「障害者」という言葉でくくられているケースが少なくないと思います。私たちは障害者という言葉でくくられる前に、ひとりの人間です。できることも、できないことも、一人一人ちがう。求めることも、違うのです。そしてそれは言葉にする、声にしなければ人には伝わらないことです。私たちそれぞれが抱えている苦労は私たち一人ひとりが声を上げなければわかってもらえない。
 少なくともそんな気持ちを持っているのは自分だけではないということがわかってきました。仲間うちで「わかってもらえない」と愚痴を言いあうこともありました。でも私はその現状を少しでも変えられないかと思うようになりました。NPO法人を作るためには法律上最低10人の賛同者が必要です。決して多くない友人に話をしてみました。するとすぐにその数の共感してくれる人は見つかりました。そのとき共感してくれたひとたちの力で、NPO法人というひとつのかたちにすることができています。
 障害者雇用の機会が確実に増えている今、私たちは「少しでもわかってほしい」と思います。と同時に、事業主の方々も「障害者を雇うにはどうすればいいか」「知りたい」と思っているのではないかと考えます。そうであれば、私たちは今よりもっとわかりあう機会を作っていける、そう信じています。


設立の目的と現状

簡単に結論から言えば

「より障害者当事者が働きやすい環境を目指す」ことが設立の目的です。

「ハンディキャップのある当事者が生きやすい社会」は素晴らしいと思いますが、社会全体を変えるというには、さすがに広すぎます。私たちは特に「雇用」という点に着目しています。

大きく三つの理由があります。

1.法律で企業は障害者を雇う義務があり、年々その数は増加していく(2022年、従業員数43.5人以上の企業は最低1人以上障害者を雇用しなければならない。障害者雇用促進法43条第1項より)

2.それにより「健常者と障害者」が一緒に仕事をしたり接する機会が増加するが、多くの企業はどのように障害者を扱ったらよいのか?という戸惑うケースが多い。データでは精神障害を持つ人が障害者雇用として勤務を始めても、1年後には50%以上が退職している。

3.企業が抱えている、障害者への接し方や、職場での定着率の低さという問題について、障害者当事者側から提案したり、当事者が本当に求めていることを発信することで、障害者当事者への理解を深めていく。ひいては障害を抱えながら苦労して働く人たちが本当に働きやすい環境づくりを推進する

という目的です。

次に挙げる文章は、NPO法人設立の際に東京都に提出した設立目的の書類です。



1.日本において、障害者の雇用は90年代以降急速に発展しています。これまでは一定

以上の規模の企業の事業主には、身体障害者・知的障害者の雇用が義務付けられてい

ましたが、障害者雇用促進法の改正により、平成30年からはそれに精神障害者も加え

られました。全従業員中、障害者の割合(法定雇用率)も2.0%から引き上げが続き、

就労する障害者の数はこれから増加していくことでしょう。

しかし、雇用する企業側の受け入れ体制がまだ十分に整っていないことも確かです。

障害者を雇用するに当たっては、就労できるような「合理的な配慮」をしなければな

らないことが義務付けられていますが、企業が障害者のためにする「配慮」と、精神

障害者が就労していくために本当に必要な「配慮」が十分に噛み合っていないケース

があることも確かで、雇用した精神障害者のうち、50%以上が1年以内に退職している

というデータもあります。

2.特に精神障害者については、ひとりひとり病状が異なると言っていいほど病気の種

類が多様であり、多くの企業は精神障害についての知識や雇用の経験が不足している

という調査結果もあり、このことは精神障害者の側も、適切な受け入れ体制が整って

いないことに不安やデメリットを感じ、障害を隠して一般の求人に応募する(クロー

ズ就労)傾向が高いことからも明らかです。

3.精神障害者を雇用する企業(雇用主)の声をまとめると「障害について理解のある

人材」「社内外で勉強会を行い障害者について理解を深める」「通院や急な体調の変

化に対応できるような社内制度」が必要であるという声があります。

そして、「障害について理解のある人材」ということについて考えた時、まずは障害

者自身であろうと私たちは考えました。

4.2006年、障害者の権利・尊厳のための「障害者権利条約」が制定された際、世界中

から障害者が積極的に議論に加わり、条約の制定に大きな役割を果たしました。それ

は「"Nothing about us without us"(私たちのことを抜きに私たちのことを決めないで) 」

という強い意志に基づいたものでした。

障害者雇用についても同じことが言えるはずです。就労する障害者は安心して長く働

ける環境を、各企業も職場定着を望んでいるでしょう。

5.私たち「RayV(ライブ)」は、障害者や、メンタルに関わる病を抱えている者で結

成されました。業務執行に当たる一人一人が、病を抱えながら生きています。その一

人一人が、自分の持つ障害について、それを知らない人に、伝えようと考えます。そ

れは、障害について知ろうとしている、

わかろうとしてくださる人々に、伝えることができるということでもあります。それ

は私たちが有する一つのスキルであると考えます。

6.精神的な障害を持ちながら生きている側の人間として、まずは障害者雇用に積極的

に関わってまいります。精神障害者の雇用が発展しているこの時代だからこそ、企業

の中で、就労する精神障害者に関わっている方々に、それぞれの病について、実体験

としての情報を提供してまいります。それを通して、各企業が精神障害について少し

でも理解をしていただき、ひいては就労する障害者との距離を近くしていけると信じ

ます。

7.そして私たちは就労する精神障害を持つ人々とその企業をバックアップし、職場へ

の要望、不安や不満、直接言えないことを聞き、まとめ、職場との折衝、橋渡しをし

ます。

協力していただける障害者や疾患を持った人々が本当に希望することや、障害者雇用

についての不安、現状の聞き取り調査を行い、その生きた意見を、最大限職場の環境

づくりのために活用します。企業にはより深く直接的な、障害者雇用についての、よ

り実践的な障害者雇用に活かすことのできる声を届けます。職場定着率の向上=離職

率の減少により、突然会社に来なくなるなどのリスクを減らし、安定した就労の確保

に繋げてまいります。それは企業の利益であると同時に、私たち障害を持つ側の希望

でもあるのです。

私たち「RayV(ライブ)」は、障害を持って⽣きる者として、声を上げてまいりま

す。利益の追求を⽬的とする会社としてではなく、私たち障害者ができることを常に

考え、障害者やそれに準ずる病気を抱えている⼈々の利益を第⼀とするために、障害

者による障害者のための組織としてここにNPO法⼈を設⽴します。

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