障害者手帳を取得するメリットとデメリット

当事者から見たリアルな意見を紹介

NPO法人RayV 所属 行政書士のトーマです。よろしくお願いします。

 今回はRayVの情報発信第1回として精神保健福祉手帳について取り上げます。
よく聞かれるここでは説明いたします。

 私たちRayVは当事者が中心となって活動しています。私を含めて手帳を実際に使っていて感じることを、スタッフや協力いただける方から聞いて、発信します。


 ここは違うとか、自分はこんな体験をした、こんなデメリットがある、という意見は私たち当事者がどんどん声を上げていくべきだと私たちは考えます。

「伝えたい!」ということがあれば、ご紹介させていただきますので、コメントをお待ちしています!


Q.等級は何で決まるか?
簡単に言えば「生活にどの程度の支障があるか」が判断の基準となります。
厚生労働省の文言では下記のような内容です。


1級

精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの……これは精神的な病気のために寝たきりだとか、買い物に行く、仕事を行うことなどが不能と言っていいというイメージです。

2級

精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの......「3級か、2級か」の判定は難しいところがあります。例えば「2級は仕事ができない程度の人だ。仕事をしている人は3級だ」という話はよく耳にしますが一概にそう決まっているわけではありません。


3級

精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの……精神的な病気のために何らかの制限がある場合です(そのままですね。)例えば人混みが苦手で満員電車に乗ることができないという場合、「日常生活に制限がある」と判断できます。


身体障害者の判断においては、たとえば視力であれば
「視力の良い方の眼の視力が0.02以上0.03以下のもの」は何級、と規定されている基準がありますが、心の病気はなかなか、客観的に見えるものではなかなかありません。

その判断においては、申請に必要な医師の診断書が重要な要素となります。
各市区町村側からすれば、ある人から障害者手帳を交付を求められた場合、何で判断すればいいか、という時、それは診断書で判断するわけです。
(障害者手帳を取得する前に、障害年金を既に受給できている場合は診断書が不要なケースもありますが、その場合でもやはり診断書が必要です)


少し突っ込んだ部分の話をすると、通院している病院に「手帳を取りたいので診断書を作ってほしい」と依頼するにあたっては、その主治医の判断が重要になります。


障害者手帳を取りたい、ということは生活していくうえでの援助を求めるといえるでしょう。そのためには診断書が重要なのですから、2週間に1度、3週間に1度といった通院の機会を有効に活用したいところです。


生活の上で困っていることをメモしておき、通院の際にそれを伝えるなど、医師の側からもわかりやすいエピソードなどがあれば積極的に記録しておくといいでしょう。等級についても、「うつ病は2級」のように決まっているものではなく、その症状において、「食事が摂れない」「不眠がある」のように日常生活にどの程度困難が生じているか、それが、医師が作成した診断書で判断できるかによるので、一概に「あの人は何級」と判断するものではありません。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/chusou/fukushitecho/techo_iryokikan.files/kinyurei1.pdf
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4615&dataType=1&pageNo=1
(各都道府県知事あて厚生省保健医療局長通知。平成七年九月一二日、健医発第一、一三三号)


 なお、最近では手帳を申請する際、紙の手帳の他にカードタイプの障害者手帳も選ぶことができます。

 東京都の場合、カードに「障害者手帳」と記されており、障害等級が記載されます。一見では身体障害なのか、精神障害なのか判断できないような、プライバシーを配慮する形になっているので私はカードタイプをお勧めします(カードの裏に小さく種別⦅身体・精神など⦆の記載がありますが)。


取得した後のメリット 東京都の場合、都営交通(都営の電車。都営○○線。また、都バス)が無料で利用可能になります。厳密には磁気タイプの「都営交通乗車証」が発行されます。これはPASMOで発行することもできる点でとても便利です。

参考:<精神障害者都営交通乗車証>

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/nichijo/jousyasyo.html


都営以外のバスでも、ほぼ全てのバス会社が提示することで半額とするサービスを提供しています。

注:「都内に住所を有し、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている」とあるように、全国的に同じではありません。

その下はJAL。ANA,JAL共に身体・精神障害手帳で利用可能。
「障害者手帳で行こう!」https://shogaisha-techo.com


障害者手帳を持つデメリット

さて、ここからがデメリットの話です。 
 今回、私たちRayVのチーム内でもいくつかの意見をいただきました。手帳を持つことのデメリットはどんなものがあるか?


 一番多かったのが、デメリットは「特にない」という意見でした。これが実際に持って、生活している私たちの意見でした。

「確かに、自分が手帳を持っていることを明かしていない友達と映画に出かけることもある。その時は『先に中に入ってて』とかすることはある」という意見もあります。確かに、なんとかすれば対応可能なわけです。


 あとは、それを自分の中でどう折り合いを付けるか、どう割り切るか、というところでしょう。 


 さて、このような割引制度は生活上、直接的なメリットといえます。

 ここで行政の立場に立って考えてみると、障害年金給付申請や生活保護申請を行ううえで、利用できる判断材料の一つとして、手帳を持っているということが申請の審査をするときの大きな判断材料になる(言わば、申請を通しやすくなる)ということはメリットとして大きいでしょう。


 「障害者手帳」交付とは縁のない、健康な生活を送れるならそれにこしたことはないでしょう。同時に利用できる制度、メリットがあるならば、積極的に利用していくのも良いでしょう。社会が多様化、様々な人のありかたを認めようという流れにあるなか、日本では「障害者」と主張することが、実質的にはまだまだ受け入れられないのが現実かもしれませんが、まずは自分を認めることも、他人ひいては受け入れられる社会へとつながり、またつなげていくための一歩なのかもしれません。
ここで今後のテーマですが、


障害者手帳を持つことで、企業が受けるメリット


 これが私たちRayVのメインテーマにも繋がります。
 障害者手帳の申請は行政書士の業務ですので私もお受けさせていただいておりますが、障害年金申請は社会保険労務士の専門業務と分かれています。特に「障害者手帳はあるけれど、障害年金は受給できるだろうか」と相談を受けることはありますが、障害年金については障害年金のプロの、社労士の先生にお願いしています。
行政書士、社会保険労務士、と分かりづらい部分があると思いますが、それぞれのプロがいるということです。


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